奥田雅楽之一(おくだ・うたのいち)は、1913年創始の正派邦楽会の四代目後継者として、邦楽の伝統を深く受け継ぎ、現代における新たな表現の可能性を切り拓く音楽家。正派邦楽会は、和楽器の専門団体として国内最大規模を誇り、またアメリカやブラジルをはじめとする海外にも多くの会員を有しています。
雅楽之一は生田流箏曲を基盤とし、長年にわたり、その豊かな伝統を守り抜くとともに、常に革新を追求してきました。専門分野は、生田流箏曲および地歌三弦。500曲以上の伝承曲を忠実に継承し、正派邦楽会の多くの会員にその正確かつ深い知識を伝えています。また、創作活動にも精力的に取り組み、歌舞伎音楽の新作や、洋楽器との融合を試みた楽曲制作を通じて、邦楽の枠を超えた革新的な表現に挑戦し、伝統と革新を見事に融合させ、未来へと繋がる新たな音楽的価値を生み出しています。
雅楽之一は、正派邦楽会創始者・中島雅楽之都の曾孫にあたり、祖母は二代目家元・中島靖子、祖父は作曲家・唯是震一、母は三代目家元・中島一子、父は古典尺八奏者・奥田敦也という、音楽家としての伝統に満ちた家系に生まれ育ちました。この家系では、日本の伝統音楽だけでなく、西洋音楽を積極的に取り入れることが伝統の一つであり、雅楽之一もその影響を受けて育ちました。箏曲、作曲、尺八の深い影響を受けるとともに、西洋音楽の理論や表現方法を学び、それを邦楽に融合させることで、幅広い音楽性を育んできました。
雅楽之一は、邦楽の普及と発展に力を注ぎ、大規模な演奏会の企画・実施を重ねてきました。また、和楽器に関心を抱く外国人に向けて、全編英語で構成された邦楽プログラムを立案し、国際的な理解を促進しています。さらに、創作や編曲による楽譜の公刊により、邦楽の学習・継承環境を整え、次世代への橋渡しを行っています。雅楽之一は、邦楽の伝統を尊重しつつ、グローバルな舞台でその魅力を発信し、時代に即した新たな音楽文化の創造を目指し続けています。

奥田雅楽之一(おくだうたのいち)
本名 奥田智之(さとし)。生田流箏曲家、地歌三弦演奏家、作曲家。正派初代家元・中島雅楽之都の曽孫に あたり、生田流正派四代目の伝承者である。幼少より正派二代目家元・祖母・中島靖子に箏を師事。作曲家 で箏曲家の祖父・唯是震一に三弦を師事。後年、森雄士師に宮城胡弓を師事。二代目富山清琴師(人間国宝)に三味線音楽「作物」を師事。四世萩岡松韻師に山田流箏曲を師事。富樫教子師に九州系地歌三弦を師事。 今井勉師に平家琵琶を師事。舞踊音楽、歌舞伎音楽などを中心に作曲活動を展開。海外公演多数。現役職 は公益財団法人 正派邦楽会常任理事、正派副家元。
1979年6月 東京生まれ。
1985年6月 中島靖子に正式入門
8月「中島雅楽之都七回忌追善演奏会」にて初舞台。(国立大劇場)
1994年 「黒塚(猿翁十種の内)」にて歌舞伎初舞台。(大阪新歌舞伎座)
2002年2月 正派発祥の地、長野市善光寺大本願にて雅号「雅楽之一」を名乗る。
2009年2月「奥田雅楽之一稽古場」開軒
2012年1月 個人事務所を千代田区一番町に設立
2019年3月 正派邦楽会副家元に就任。
10月 「第一回 奥田雅楽之一演奏会」を開催。(紀尾井ホール)
2022年8月「第二回 奧田雅楽之一演奏会」を開催。(国立能楽堂)
♢主な作品(初演記録)
・バラード(2006年、横浜美術館)
・木花咲耶姫(2010年、ル・テアトル銀座、立方・梅津貴昶)
・仲国(2020年、新橋演舞場、立方・十一代目市川海老蔵)
・プペル~天明の護美人間~(2022年、新橋演舞場、立方・十一代目市川海老蔵)
・清経(2022年8月、国立能楽堂)
・花 (2022年、インターネット)
・冨嶽(2023年10月、NHKホール)
♢Discography
奥田雅楽之一作品集(2022 年、発売元:(公財)日本伝統文化振興財団)
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